SDGs(持続可能な開発目標)とは|17の目標と取り組みを解説

学習指導要領の改訂により各教科においてSDGs(国連持続可能な開発目標)について触れられるようになり、教育の中でSDGsを取り扱うことが増えてきました。特に教育現場では、ESD(持続可能な開発のための教育)をSDGsの17全ての目標の達成の鍵として重要視されています。2017年3月に公示された小中学校学習指導要領にも、全体の内容に係る前文に下記のように記載されています。

児童(生徒)が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。

世界経済フォーラムが2019年9月発表した調査によれば、SDGsを少しでも聞いたことがあるという人は、世界平均が約74%であるのに対して、日本は約49%と認知度は低いため、改めてSDGsとはなにか、SDGsが掲げている目標と実際の取り組みを紹介します。

持続可能な開発目標

SDGsは2030年までに達成すべき国際社会共通の目標

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、エスディージーズと発音します。2015年9月に国連サミットの中で国連加盟193か国が合意した、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた国際社会共通の目標のことです。

誰一人取り残さない社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むもので、先進国・途上国関係なく国際社会全体の目標であり、企業、市民などの参加も必要とされるものです。

また、国連広報センター所長の根本かおる氏が解説している動画は、簡潔にまとまっておりSDGsについて理解を深めるのに非常におすすめです。

SDGsはMDGsに変わって定められた開発目標

SDGsは、2001年に国連サミットの中で採択されたMDGs(エムディージーズ/ミレニアム開発目標)が2015年に達成期限を迎えたことを受けて、MDGsに代わる新たな世界の目標として定められました。

MDGsは1990年以降から7億人が極度の貧困から抜け出し、開発途上地域の10人に9人の子供が初等教育を受けられるようになることに貢献しました。MDGsは貧困に対して最も効果を収めた取り組みですが、以下の8つのゴールが掲げられていました。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ゴール2:初等教育の完全普及の達成
ゴール3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ゴール4:乳幼児死亡率の削減
ゴール5:妊産婦の健康の改善
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
ゴール7:環境の持続可能性確保
ゴール8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

MDGsは途上国の貧困や初等教育、保健等の従来通りの開発問題が中心で、先進国はそれを援助する側という位置づけであったことに対して、SDGsは先進国と途上国が一丸となって、開発という側面だけでなく、経済面・社会面・環境面の3つの側面全てに対応する位置付けになっていることが特徴です。

SDGs以前より世界ではESGの動きが注目されていた

2006年、当時の国連事務総長であるコフィー・アナン氏が金融業界に向け、責任投資原則(PRI)を提唱して、企業への投資をする場合には財務情報だけではなく、ESG[環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)]への責任を果たしているかどうかを重視すべきとしました。

また、世界最大手の投資運用会社であるブラックロックが2019年2月に、2012年から2018年までの投資リターンにおいて、ESGファンドが従来型ファンドを上回ったと発表したことで、ESG投資の対象は、SDGsの達成に貢献している企業であるという考え方が浸透しつつあります。

日本では、2010年に世界最大級の機関投資家であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が責任投資原則(PRI)に署名したことで、日本企業の間でもESGを考慮しようとする動きが広がりました。

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SDGsの17の目標と169のターゲットとはなにか

SDGsは貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げた「17の目標」と17の目標それぞれに10個程度の具体的な目標が示された「169のターゲット」で構成されています。国際連合広報センターのSDGs報告を元に、17の目標と改善を目指す主要な課題を紹介します。

ゴール01:貧困をなくそう

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことを目的としています。1990年以来、極度の貧困は大幅に緩和されたものの、2015年時点で世界人口の11%に当たる7億3,600万人が、極度の貧困状態で暮らしており、世界人口の55%は社会保障にアクセスができていません。

ゴール02:飢餓をゼロに

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進することを目的としています。世界の飢餓長く減少が続いていましたが、紛争や干ばつのほか、気候変動関連の災害により2017年時点で飢餓の中で暮らす人は8億2,100万人と2015年から3,700万人増加しています。

ゴール03:すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進することを目的としています。5才未満の死亡率、結核感染率、HIV感染率などで低下・改善傾向ですが、すべての人が経済的な困難を伴うことなく保健医療サービスを受けることができるようにはなっていません。

ゴール04:質の高い教育をみんなに

すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進することを目的としています。最低限の読み書きと算術の習得ができていない子供と思春期の若者は世界で6億1,700万人(6歳〜17歳の5人に1人は学校に通えていない)います。また、読み書きのできない成人も7億5,000万人もいます。

持続可能な開発目標

ゴール05:ジェンダー平等を実現しよう

男女格差をテーマに、ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図ることを目的としています。女性器切除術を受けた女性と女児は2億人以上おり、20歳〜24歳の女性の30%は18歳未満で結婚しています。また、労働者全体で女性は39%、管理職は27%しかおらず社会進出を阻まれる不当な社会的規範や態度などの構造的な問題があります。

ゴール06:安全な水とトイレを世界中に

すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することを目的としています。2017年時点で世界で7億8,500万人は基本的な飲料水サービスを受けられていません。衛生面では、世界人口の5人に2人は、自宅に石鹸と水を備えた基本的な洗面設備を持っておらず、6億7,300万人(世界人口の9%)は屋外排泄を行なっています。

ゴール07:エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することを目的としています。世界で10人に1人は電力が利用できておらず、30億人はクリーンな調理用燃料と機器を利用できていません。また、エネルギー消費に再生可能エネルギーが占める割合は17.5%と低いままです。

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ゴール08:働きがいも経済成長も

すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進することを目的としています。後発開発途上国の実質GDP成長率(2010〜2017年)は4.8%と、ターゲットとしている7%に及んでいません。また、若者の5人に1人は教育にも仕事にも訓練にも参加していません。

ゴール09:産業と技術革新の基盤をつくろう

レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図ることを目的としています。後発開発途上国の産業化は遅れており、1人あたり製造業付加価値は、欧米で4,938ドルに対して後発開発途上国は114ドルになっています。

ゴール10:人や国の不平等をなくそう

国内および国家間の不平等を是正することを目的としています。多くの国で多くの割合の所得が全体1%の最富裕層へいき、最貧層40%が所得全体の25%未満しか受け取っていません。また、移民の権利保護と社会経済的福祉を保障するためには多くの取り組みが必要とされています。

持続可能な開発目標

ゴール11:住み続けられるまちづくりを

都市と人間の居住地を包括的、安全、レジリエントかつ持続可能にすることを目的としています。2018年時点で、年に住む4人に1人はスラム類似した環境で生活しており、10人に9人は汚染された空気の中で生活をしています。

ゴール12:つくる責任 つかう責任

持続可能な消費と生産のパターンを確保することを目的としています。全世界のマテリアル・フットプリント(ある国の消費を満たすために必要とされる物質採取の量)は急拡大し、人口と経済の成長をしのぐ勢いになっています。

ゴール13:気候変動に具体的な対策を

気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取ることを目的としています。産業革命前に比べて、2018年の地球の平均気温は約1度上昇しており、2017年の大気中の二酸化炭素濃度は146%になっています。また、気候・地球物理関連の災害による死者数は1998年から2017年までに130万人に上ったと推計されています。

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ゴール14:海の豊かさを守ろう

海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用することを目的としています。産業革命前に比べて、海洋酸性度が26%上昇(海洋酸性化は、海洋の二酸化炭素吸収に影響きたし、海洋生物を危険に晒す)しています。また、生物学的に持続可能な水準にある魚類資源の割合は2015年時点で67%に減少しています。

ゴール15:陸の豊かさを守ろう

陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図ることを目的としています。生物種絶滅の危険性は増加しており、地球の陸地面積の5分の1は土地劣化が進み10億人の生活に影響が出ています。

その他に「ゴール16:平和と公正をすべての人に(持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する)」、「ゴール17:パートナーシップで目標を達成しよう(持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する)」があります。

持続可能な開発目標

SDGsの達成状況はどう把握するのか

SDGsの数値目標は、定期的にモニタリングされており、枠組みとして国連ハイレベル政策フォーラム(HLPF:High Level Political Forum)というものがあります。が毎年7月頃にSDGs達成に向けての進捗状況を各国が報告を行うというものです。

Bertelsmann Stiftung(ベルテルスマン財団)とSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)からレポートが出されており、達成状況、国連加盟156カ国でのランキングを見ることができます。

日本国内のSDGs取り組み状況

日本では、2016年12月に行われた持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合で、国際保健に関して総額11億ドルの支援、難民及び難民受入れ国支援に関して5億ドルの支援、女性の活躍推進に関して総額約30億ドル以上の支援をすることを発表しました。また、国内では「SDGsアクションプラン」として3つを掲げています。

1. SDGsと連動する「Society 5.0」の推進
2. SDGsを原動力とした地方創生,強靱かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
3. SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

象徴的な取り組みはSDGs未来都市

持続可能な都市・地域づくりを目指す自治体を選定し政府として予算もつけてサポートする取り組み「SDGs未来都市」が2019年7月1日に発表されました。SDGs未来都市として選定された都市は、内閣府地方創生推進事務局のサイトから見ることができます。また、選定された各都市の取り組みは、内閣府の資料で確認できます。

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持続可能な開発目標|国連開発計画(UNDP)
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落合陽一「2030年の世界地図帳」SBクリエイティブ