ピアジュの発達段階(発生的認識論)とは|概要や特徴を徹底解説

人間にはいくつかの「発達段階」があると考えられています。発達段階の区分や名称は学者によって異なっており、ジャン・ピアジュの「発生的認識論(genetic epistemology)」は、ジークムント・フロイトの「リビドー発達段階理論」、エリク・エリクソンの「心理社会的発達理論」と並ぶ3大発達段階説のひとつです。

スイスの心理学者ピアジュ(1896〜1980)は、子どもの思考は大人の思考とは異なるものとして、誕生から青年期までの認知発達を「感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期」の4つの段階に分類しました。

ピアジュの発達理論は、各発達段階における子どもの特徴や行動の意味を理解して接するために必要な考えであるため、保育資格の試験で頻出する内容にもなっています。子どもを持つ親も、子ども特有の言動の意図を理解して子育てに活かせるようにしていきましょう。

心理学者ピアジュの生い立ちと人物像

ピアジュは、1896年にヌーシャテル大学(スイス)で文学教授をする父親の家庭で生まれました。初めは生物学に興味を持ち、軟体動物の研究で博士号を取得しましたが、次第に精神分析学に関心を抱くようになり、フランスで心理学を学びます。

1921年(当時25歳)にスイス・ジュネーヴにある「ジャン=ジャック・ルソー教育研究所」の所長として招かれ、教育学・児童心理学の研究を進めました。また、複数の大学で心理学や社会学などを教えつつ、1955年に発生的認識論国際センターを立ち上げ、1980年に亡くなるまでセンター長として研究を続けました。

ピアジュは、生涯に50冊以上の本と500本以上の論文を著し、心の発達を研究する「発達心理学(developmental psychology)」の分野で大きな功績を残し、後に「発達心理学の父」と呼ばれるまでに多くの学者に影響を与えました。

ピアジェの発生的認識論とは

ピアジュが提唱した理論は「発生的認識論(genetic epistemology)」と呼ばれており、乳幼児を無能で受動的な存在とするこれまでの心理学に対して、子どもは科学者のように実験と観察を繰り返しながら自らの「知」を構成していくと主張しました。

また、子どもは誕生から青年期までの認知(思考)を4つの段階に分類した発達段階説を唱えました。発達の速さや達成度合いには個人差はありますが、どのような環境でも同じ4つの段階を普遍的な順序で経験していくとしています。具体的に発生的認識論における4つの段階を順に見ていきましょう。

ピアジェの発達段階1:感覚運動期

0歳〜2歳は「感覚運動期(sensorimotor stage)」という段階に区分されます。感覚運動期にあたる人間(乳幼児)は言葉を使えないため、吸う・触る・舐める・叩くなどあらゆる感覚を用いて物事を把握しようとします。また、成長とともに「循環反応(circular response)・対象の永続性(object permanence)・模倣行動(imitative behavior)」の3つの特徴が現れます。

特徴1:循環反応(生後1か月頃)

循環反応とは、手に持った物を何度も落としてみるなどの繰り返し行動のことです。

特徴2:対象の永続性(生後6か月頃)

対象の永続性とは、手や布を覆うなどして物を見えなくしても、物がその場所に存在していると理解できることです。生後6か月頃までは、対象の永続性ができておらず、目の前で見えなくなったものは消えて無くなったと認識しています。

いないいないばあをとても喜ぶようになるのは、対象の永続性を獲得して、目の前に見えなくなっても変わらずそこにあることを理解できているため、再び現れることを楽しみに待つことができるようになるためです。

特徴3:模倣行動(生後8か月頃)

模倣行動とは、自分が見たり聞いたりする相手の手の動きや発声を真似できるようになること、さらには見ることができない自分の表情を目の前の相手の表情に近づけることができるようになることです。また、模倣行動には3段階の発展水準に分類されます。

  • 手の運動と発生の模倣期(〜生後8か月頃)
  • 顔の模倣期(生後8か月〜12か月頃)
  • 延滞模倣期(生後18か月頃〜)

ピアジェの発達段階2:前操作期

2歳〜7歳は「前操作期(pre-operational stage)」という段階に区分されます。操作は「情報を正しく処理すること」を指しており、この段階の人間は情報処理が未熟なため「前操作」と呼ばれます。前操作期の特徴を見ていきましょう。